重力波検出装置




            春寒やするめ固めがほどけない







            海馬てふけもの騒ぐや春の宵







            陽炎に揺られて牛は遠くなり







            ずり落ちつ上りつ呑みつ花見坂







            妻にでもさわってみるかな春だしな







            毒蝶のぬるく羽ばたく暗夜かな







            ななほしをかぞえてるまにとんでった







            やうやうに青葉のにほひ尽きて海







            重力波検出装置に驟雨かな







            雨乞いや西の空征くワルキューレ







            梢まで猿の腰掛け十五段







            蟷螂の潰れてありぬ石畳







            ほろ酔いのしずかに醒めて生姜飯







            明け方に児は咳き込みぬ秋黴雨







            石売りの親と子のゐて蘆火かな







            最大の素数はありや天の川







            炬燵にて超ひも理論を学びをり







            ふゆがいくおほきなねこのあしどりで







            冬銀河万里の長城動きけり







            サラエボに狙撃手のゐて年の暮





                           ('95/10/30 優璃)

英訳(部分)はこちら*



taku@medical.email.ne.jp(Taku Nakajo)