カメ天国通信


その127

【カメ人間日記】
(2006年1月後半)

一月十六日(月)
 私のトランペットの先生である唐口一之さんは、最近ベーコンを作るのに凝っていて、今日ライブを聴きに行ったら帰りにものすごく大きなベーコンの塊をくれたのである。いい演奏を聴いて、しかもこんなものまでもらってしまって、いやもう、ばちがあたりそうだ。包んである袋越しにスモークのいい香りがしていて、それだけで涎が出てくる。
 明日の朝は、ベーコンエッグだ。
*秋刀魚ご飯、大根サラダ、蓮根と大根と人参の煮物、林檎。

一月十七日(火)
 夕方、妻が頭痛でダウンしたので晩飯は簡単に済まして、劇団の稽古。あわせるところだけあわせてすぐに終わったので、二時間ほどで帰宅。夜中にはほぼ頭痛もなくなっていたようで、よかったよかった。
*バゲット、チーズ。

一月十八日(水)
 夕方、四十分ほど走る。
*ベーコンエッグ、白米、味噌汁、大根と水菜とセロリのサラダ、トマト、林檎、スイートポテト、ドーナツ。

一月十九日(木)
 「七度狐」もよかったが、なんといっても「鴻池の犬」がすごかった。あんな「鴻池の犬」は見たことも聴いたこともない。だいたい「鴻池の犬」というのは変な噺が多い上方落語のなかでも、とりわけ変な噺で、前半が上方落語屈指の徹底したリアリズム描写、そこから一転して後半はいきなり犬がしゃべり出して、そこから最後までしゃべっているのは犬だけ、というかなりめちゃくちゃな構造の噺である。従来のやり方は、この前半と後半のギャップを人情噺という共通の文脈を使ってなめらかに繋ぐ、という方法だったのだが、今日のは、そのギャップを強調するというもので、かなりびっくりした。
 いや、ほんまに落語というのはまだまだいろんな手があるものである。しかしあんなクロは、これまでになかったなあ。あのクロの登場には爆笑。
 というようなことを言いたくて、いつもなら遠慮してそういうことはしないのだが、打ち上げで師匠の真ん前でいろいろと質問したり得心したりで、いやほんまに勉強になりました。
*カレーライス、スイートポテト、打ち上げの場にあったものいろいろ。

一月二十日(金)
 夜、劇団の稽古。
*ベーコンと菜の花のスパゲティ、大根と水菜とセロリとトマトのサラダ、林檎、スイートポテト。

一月二十一日(土)
 夜、五十分ほど走る。
*カレーライス、大根と水菜とセロリとトマトのサラダ、納豆、林檎。

一月二十二日(日)
 朝から劇団受けの仕事で、三十分ほどの芝居をやる。昼過ぎに帰ってきて、あとは何にも書かずにだらだらしていた。
 今日は子供の一歳の誕生日。早いと言うか何と言うか。
*鯛の香草焼き、カレーライス、大根と水菜と玉葱のサラダ、数の子、赤飯、黒豆、林檎。

一月二十三日(月)
 劇団の稽古場で、トランペットのレッスン。
練習曲は SOFT WINDS 。帰ってきてからは、「のだめカンタービレ」を読んだりラッパを吹いたりしてだらだら。
*カレーライス、納豆、大根と水菜と玉葱とセロリのサラダ、豚汁、林檎。

一月二十四日(火)
*玄米、白菜と豚肉のとろとろ煮、ベーコンと大根とほうれん草と玉葱と水菜とセロリのサラダ、林檎、饅頭。

一月二十五日(水)
*カレーライス、ホタテのパン粉焼き、ベーコンと大根と玉葱と水菜とセロリのサラダ、林檎、キウイ、ヨーグルト、ブルーベリー。

一月二十六日(木)
 このところ、朝はベトナム風のお粥、昼はパンとこないだパリから持ちかえったチーズとバターとうちで作ったマーマレード、というのが定番。これに唐口さんに貰ったベーコンが加わることもあって、まあ毎日うまいものを食っているなあとつくづく思う。
 午後、天王寺あたりを散歩。
*白菜と豚肉の丼、ベーコンと大根と玉葱と水菜とセロリのサラダ、蓮根のバター炒め、焼き餃子、林檎、黒豆、饅頭。

一月二十七日(金)
 午後、日本橋のあたりをぶらぶら。通天閣の下を通って動物園の上を渡って近鉄デパートの前を通って帰ってくる。
 なかなかおもしろい散歩コースである。
 しかしまあそれはそれとして、ひさしぶりに行った日本橋では、そこらの道端でエロビデオが二本百円で売られているという、もうエロのデフレとしか言いようのないような状態で、我々が高校生くらいの頃があまりにインフレすぎたのかもしれないが、それにしても二本百円って、あんた。こういうエロのデフレのなかで思春期を過ごした世代というのは、我々とはもうエロに対する認識が根本的に違うのではないかと思うのだが、そのあたりどうなのかなあ。
*カレーライス、ベーコンと大根と玉葱と水菜のサラダ、林檎、ヨーグルト、ブルーベリー、バームクーヘン。

一月二十八日(土)
 某シナリオ学校で、小説のあれこれについてぐだぐだしゃべり、終わってから中華屋で飲んで、夜中に自転車で帰っているとまた警官に呼びとめられるのかなあ、と思っていたらきっちり止められた。ちょっと車体のナンバーを照会しますけどいいですか、と言われたから、はいはい、もうこれまでなんべんも照会されてるので慣れてます、あっ、先に言うときます、この自転車は拾った自転車です、と正直に申告した。
 えっ、拾った? どこで?
 ええっと、生野区に住んでるんですけど、うちの近所に大阪市が粗大ゴミを回収しているセンターみたいなところがありまして、ここにゴミが集まってきてるんですけど、このセンターの門は土日は閉まっているのに、悪い奴がいて、土日の間にここに勝手に粗大ゴミを捨てていったりするみたいなんですよ。で、スーパーに行くときにいつもその前を通るんですけど、ある日、そこに大量のゴミが捨てられてて、それがベッドとか箪笥とかカラーボックスとか、まあどうみても引越しで出た粗大ゴミで、また悪い奴が勝手に捨てたゴミらしいなあと思って、そのなかに自転車が、と、そこまでしゃべったところで、いきなり警官は、もうええわっ、と言って去ってしまったのである。
 漫才やないねんから、もうええわっ、は、ないやろ、と思ったがもう警官は行ってしまったし、もうええらしいし、もうええわっ、というその言い方も間もなかなかよくて、ああそうかあ、もうええんや、と納得してしまった。そういうわけで、私は、もうええらしいです。よかったよかった。
*いつもの中華屋。

一月二十九日(日)
 夜、一時間ほど走る。
*豆乳鍋、豚しゃぶ、水菜と生ハムのサラダ、黒豆。

一月三十日(月)
*鶏と野菜の鉄板焼き、白米。

一月三十一日(火)
 妻と子供と三人で、サックス吹きの井上君宅にカレーを食いに行く。なんだかカレーが大量にあるらしいのである。井上亭のカレーはスタンダードな日本のカレーとでも言うべきビーフカレーで、とてもうまかった。夕方まで楽しく過ごし、ちょっとお祝い事があるので、では次はそれにかこつけて皆で集まって鴨を食おうことに決まる。めでたしめでたし。
*大根と水菜と玉葱とベーコンのサラダ、野菜炒め、白米、味噌汁、マカロン。


無断転載禁止 (c) Yusaku Kitano/Hiroko Morikawa(イラスト)
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