カメ天国通信


その161

【カメ人間日記】
(2007年7月後半)

七月十六日(月)
 かっぱのドリームブラザーズの復活コントライブを観に行ったのだが、最終回はローパワーズというコント集団とメンバーをシャッフルして行う趣向になっていて、ひさしぶりにドリブラのコントを見たかった私としては不満だった。いやまあ、チラシをちゃんと見なかった私が悪いのだが。
 でも、じんせい・がめらの二人コントは見ることができたし、その出来もよかったし、かっぱさんのしゃべりもたっぷり聞けたからまあ悪くはなかった。是非とも本格的に活動を再開して欲しいものだと思う。
*海老と南瓜と茄子のタイカレー(レッド)、白米(バスマティ)、キャベツと酢漬け玉葱のサラダ、梅と胡桃のバターケーキ。

七月十七日(火)
 夜、一心寺シアターのワークショップ。エチュードとか、いろいろ。
*海老と南瓜と茄子のタイカレー(レッド)、玄米、紫蘇とじゃことひゅう菜のお浸し、味噌汁。

七月十八日(水)
 第八回「ハナシをノベル!!」
 小説家が書いた新作落語を月亭八天さんが演じる会で、今回は私が二席のうちのひとつを書いた。

『カエル通信システム』北野勇作・作
『時の旅』      小林泰三・作

 いやそれにしても、自分の書いた落語はやっぱり冷静に観ることはできない。のっけのくすぐりを八天さんは何を思ったのかラップ風にやろうとして、しかしあまり憶えていないのかそこで噛みまくり、これはもうどうなってしまうのかなあ、と思ったのだが、まあ なんとか中盤から持ちなおしてくれた。それでもやっぱり、立て板のところは練習不足のせいかそれほどすらすらとはいかず、まあ新作二席のネタおろしというのは相当にきついので、こうなってしまうのではないかとは書きながら思ってはいたのだが、やっぱりこう いうタイプのネタはこの会ではいかんのかなあ。しかしそんなことを言ってては書けないし書くほうが気にすることでもない。まあ、こなれれば成立するであろうということはわかったので、自分としては成果はあったのだが、正直ちょっとつらかった。ほんま、こ ういのは身体に悪い。
 小林さんの『時の旅』は、タイトル通りのタイムマシンもの。タイムマシンを使った金儲けの噺なのだが、タイムマシンをどうやって手に入れるか、の理論というか屁理屈、と、それによって発生するおかしな事態、というのがメインのネタになっている。
 わかったようでわからない、でも矛盾点は見つからないところから起こる感覚の混乱を楽しむというのが、古典落語の『壷算』を思わせて、しかし『壷算』の場合は登場人物にはわからないが観客にはわかっているが、この噺の場合は、観客にもそれがわからない のである。
 前半をもうすこし刈り込んで、最後はタイムパトロールもまじえて「では、このタイムマシンはいったいどこから来たのか?」というのがタイムパトロールにすらわからない、という全員の混乱の極に客席もまきこんで終わることができたら、まさに『壷算』級の 傑作になると思う。
 しかしまあ、二席がきついのなら、いっそ一席にして、それに全力を注ぐほうがいいのではないか。しんどいのはよくわかるが、客にしたらそんなこと関係ないからなあ。
*打ち上げの場にあったもの。

七月十九日(木)
*茄子と蒟蒻のぴり辛煮、トマトと玉葱と紫蘇とずいきと万願寺のサラダ、玄米、丸干し、揚げ豆腐、揚げとひゅう菜の煮浸し、豆もやしのナムル、味噌汁、メロン。

七月二十日(金)
 夕方、五十分ほど走る。
*スパゲティ・ジェノベーゼ、ジャガイモと玉葱のサラダ、味噌汁、ジャガイモ団子、トマト、胡瓜、乾しアプリコット、メロン。

七月二十一日(土)
*天麩羅ざる蕎麦、じゃがいもと玉葱と万願寺とずいきのサラダ、メロン。

七月二十二日(日)
 桂雀三郎「ほんまのひとり会」に行く。
 ほんまのひとり会という名の通り、ほんまのひとり会なのである。

鷺とり
青菜
蛇含草
悋気の独楽

 この四席をひとりで、休憩も中入りもなんにもなしでぶっ続けでやるのである。これがどれだけとんでもないことかは、落語をちょっとでもやったことがある人ならわかるだろう。実際、私はこの人の会以外で、こんなのを観たことも聞いたこともない。
 もちろん演るだけでいいならできるだろうが、のっけからペース配分もなにも感じさせないテンションの高い「鷺とり」で、そこから最後の「悋気の独楽」まで、力強くて、でも細部まで丁寧で、噺のもっている本来の構造が無駄なく機能するように考えられていて、落語特有の季節感や夜の空気感までたっぷりと味わえるのである。観客は特別なことをやっているなどとは何も考えることなく、ひたすら噺に入りこんで楽しんでいるだけでいい。普通こんなことをやると、さすがにしんどそうやな、とか、やっているだけで偉いもんや、というような、まるで二百キロマラソンでも観ているような気になりそうなものだが、そんなのはまったくない。
 ごくごく当たり前に楽しんで、でもよく考えたら、ちょっと常識では考えられないようなことが行われている、というだけである。
 いや、ほんまにもう、まいりました。
 打ち上げで、「四席も続けて、なんであんなふうにやれるんですか?」と我ながらアホみたいな質問を雀三郎師匠にしたところ、師匠はあっさり「ああ、慣れや、慣れ」。
*打ち上げにあったもの。

七月二十三日(月)
 去年あたりからうちでは、枝豆は茹でるのではなくて、焼くようにしているのだが、これが香ばしくて、茹でるよりずっとうまいのだ。子供の頃から枝豆は食べていたのに、最近になって初めてこんな食べ方を知ったというのはなんだか不思議だ。
*てっちゃんと夏野菜の炒め物、玄米、味噌汁、トマトと玉葱とずいきとバジルのサラダ、焼き枝豆。

七月二十四日(火)
*炊きこみご飯、南京とジャガイモの炒め物、味噌汁、トマトと玉葱とずいきとバジルのサラダ、焼き枝豆。

七月二十五日(水)
 夕方、一時間ほど走る。
*炊きこみご飯、鶏レバーと野菜の炒め物、味噌汁、トマトと玉葱とずいきとバジルのサラダ、切干し大根、焼き枝豆。

七月二十六日(木)
 夕方、某社の書き下ろしの打ち合わせ。なんというか、あんまり人気ないはずなのに、こうしてたまに依頼があるというのは、不思議だなあと思う。とりあえず、締め切りのある仕事は小心者なのでできません、内容も書いてみないことにはわかりません、シノプシスとか出せません、プロ意識もありません、小説は趣味ですから、と念をおしておく。それでもいいそうなので、引きうけることにした。
*炊きこみご飯、鶏レバーと野菜の炒め物、味噌汁、トマトと玉葱とずいきとバジルのサラダ、焼き枝豆、メロン。

七月二十七日(金)
*ちぢみ、味噌汁、トマトと玉葱とずいきとバジルのサラダ、焼き枝豆、おからクッキー。

七月二十八日(土)
 朝ちょっと書いて、あとはゲラをいじる。それにしても、ゲラってテンション下がるなあ。ようするにえんえんダメ出しをやられてるみたいなもんだからなあ。いや、もちろんS澤さんの細かくて的確なダメ出しには、いつも感謝していますが。
*夏野菜のスパゲティ、トマトと玉葱とずいきとバジルのサラダ、味噌汁、焼き枝豆、メロン。

七月二十九日(日)
 朝からゲラをやって、午後、鶴橋に講談を聴きに行って、帰ってきてからまたゲラ。
 それにしても講談はおもしろいなあ。落語とはまた違う大阪弁のあのリズムはとても気持ちがいい。なかでも、旭堂南海さんの「浪花侠客伝」はまさに手に汗握るおもしろさで、あれだけのキャラクターと同時進行する複数のシーンをまったく混乱なく、たたんたんたんと名調子でさばいていく手際はお見事としかいいようがない。こういうのは何とか盗みたいものだと思う。いやほんま、いろいろと参考になります。とくに今やってるゲラの。
*キムチ炒飯、トマトと玉葱とずいきとバジルのサラダ、味噌汁、枝豆。

七月三十日(月)
 朝からゲラをやって、かなりいじるところもあって、途中でなんかもう訳がわからなくなったりしたのだが、結果としてなかなかよくなったと思う。よしよし。まあもうちょっとやらないかんけど。
*カレーライス、トマトと玉葱と万願寺と紫蘇のサラダ、味噌汁、ヨーグルト、金柑。

七月三十一日(火)
 保育園でおぼえてきたカエルの歌が、最近の娘のお気に入りみたいなのだが、このあいだ、ご飯を食べるときに、「たーべーるーのうーたーが」などと歌いだした。もしかしたら保育園でそんなのが流行っているのか、と、送っていったついでに先生に尋ねてみたのだが、そんなのは聞いたことがないというから、たぶん娘のオリジナルなのだろう。つまり、生まれて初めての替え歌ということになるのだろうが、生まれて初めてにしてはなかなかよくできているのではなかろうか。
 夜、鶴橋に講談を聴きに行く。
 ひと月続き読み、の今日が最終日なのである。というわけで、ではこの続きは明晩、ではないバージョンを私は初めて聴いたのだった。いや、それにしても人間の声というか語りというのはすごいものだとつくづく思う。ここまで映像を喚起する力があるのだなあ。
 すっかりファンになってしまった旭堂南海さんの「浪花侠客伝」の大団円は、映画でやったらいったいなんぼかかるんやろ、というような総天然色の大群集シーンでした。
 会場にいた田中啓文と山中氏と「いやあ、ほんまにおもしろかったなあ」と笑いながら飲みに行って、今日も明るい月を眺めながら自転車で帰宅。



無断転載禁止 (c) Yusaku Kitano/Hiroko Morikawa(イラスト)
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