カメ天国通信


その168

【カメ人間日記】
(2007年11月)

十一月一日(木)
*塩豚と野菜の炒め物、玄米、ラタトウユ、蜆の味噌汁。

十一月二日(金)
 せっかく子供がいるのだから、近所を散歩するついでに世の中のことをいろいろと教えてやる。「あれは、オバケ」「それはロボット」、夜の公園に群れている中学生のシルエットを指差して「ほら、オバケがいっぱい遊んでる」とか。
 教育の甲斐あって、家の外にはたくさんのオバケやロボットがいて、昼間は寝ているが夜になると公園で遊んだり散歩したり子供を食べたりしていることになっていて、さぞかしびびっているであろうと思っていたのだが、そう単純でもないようである。
 たしかに、「オバケ怖い」とか「ロボット怖い」とか言うのだが、どうもそれは本当に怖がっているというわけでもないようなのだ。いや、本当に怖がって泣いたりすることもあったの だが、最近は、「怖い怖い、逃げろ逃げろ」などと走りながら、その顔は笑っていたりするし、寝るときに「オバケの話、して」とか言うのでオバケの話をすると、怖い怖いと笑ってしがみついてきたり、すごくわくわくしたような顔をしていたりする。それは、大人が怖い話をして楽しんでいるときの感じとまったく同じである。ときおり、「家のなかは大丈夫?」とか「昼間は大丈夫?」などと尋ねてきたりするから、いちおう自分が安全圏にいることは確認しているらしい。これもホラーを楽しむ態度と同じ。
 どうやら人間は二歳で、もうすでに単に怖がるだけでなく、怖さを楽しむということができるらしい。不思議なものである。
*カレーライス、ずいきと胡瓜と水菜のサラダ、ラタトウユ、味噌汁。

十一月三日(土)
 夕方、ひさしぶりに一時間ほど走る。
*カレーライス、かぼちゃと玉葱と牛肉のサラダ。

十一月四日(日)
*カレーライス、ずいきと胡瓜と水菜のサラダ、味噌汁。

十一月五日(月)
*ちぢみ、ずいきと胡瓜と水菜のサラダ、切干大根と大豆、味噌汁。

十一月六日(火)
 明日から家族三人で旅行に出る。とりあえず、ウイーン、それからハンガリーをうろうろするつもり。子供が出来てからはあまり移動のない旅行ばっかりだったのだが、もうだいぶ自分で歩いてくれるようになったのでまあなんとかいけるだろう。十二月一日に帰国予定。
*玄米、ずいきと胡瓜と水菜のサラダ、ラタトウユ、味噌汁。


無断転載禁止 (c) Yusaku Kitano/Hiroko Morikawa(イラスト)
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