カメ天国通信


その196

【カメ人間日記】
(2009年2月前半)

二月一日(日)
 午前中、バンドの練習。
 妻と娘は、明日の夜まで留守。ひさしぶりのひとりぼっちである。
*白米、野菜スープ、冷奴。

二月二日(月)
 夕方、妻と娘が帰ってくる。
*サムゲタン、大根と水菜と金柑のサラダ。

二月三日(火)
 保育園で「遊ぼう会」なるものがあって、ようするに親と子供が遊ぶイベントなのである。プリントには、カプラをやります、とか書いてあって、なんじゃそら、と思っていたら、うすっぺらい拍子木みたいなのが箱いっぱいにあって、それを積んでいろんなものを作って遊ぶのであった。これがじつによくできている。同じ形、同じ大きさの板切れを、ただ交互に積み上げていくだけなのに、相当でかい構造ができる。壁だけではなく、ドーム状の天井とか、アーチ構造を作ったりもできるのである。あの大きさと形が絶妙なのだろうなあ。
 何人かずつでグループになって子供を真ん中にいれてドームを作ったりする競争をしたのだが、もう途中からは大人のほうが夢中になってしまい、「わあっ、あかんあかん、こっちくるなっ、そんなとこ触ったら崩れるやないかっ、はねまわったらあかんっ、もうそっちで見とけっ」とか声を荒げてしまうのである。母親も父親もそんな状態になっている。子供が混じっていたからさすがに抑えがきいたが、もし大人ばっかりでやってたら、あちこちで喧嘩が起こっていたに違いない。
*太巻き、味噌汁。

二月四日(水)
 なんとなく形が見えてきたように思うのだが。それにしてもいつまでたっても小説を書くのはうまくならんなあ。
 夕方、四十分ほど走る。
*ローストチキン、ジャガイモと人参の蒸し焼き、白米、味噌汁、大根サラダ、大根と蒟蒻の煮物。

二月五日(木)
*クリームシチュー、白米、大根と蒟蒻の煮物、煮こごり。

二月六日(金)
 夕方ごろから妻が、パン焼き器を使って粉を練ったりいろいろやっているなあと思っていたら、ラーメンの麺を作っていたのだった。
 というわけで、夕食は自家製麺とこのあいだのサムゲタンの鶏スープを使ったラーメンであった。食うに困ったらラーメン屋でもやるか。行列くらいすぐできるだろう
*ラーメン、野菜スープ、大根と金柑のサラダ。

二月七日(土)
*牛すじと大根と蒟蒻の煮物、白米、野菜スープ、大根と金柑のサラダ。

二月八日(日)
 午前中は、バンドの練習。大勢で楽器を鳴らすのはやっぱり楽しい。ちゃんと吹けたらもっと楽しいはずなのだが、こればっかりはなんとも。
*焼き餃子、白米、野菜スープ、大根と金柑のサラダ。

二月九日(月)
*蕎麦飯、牛すじと大根と蒟蒻と小芋の煮物、コーンスープ、大根とチーズと金柑のサラダ。

二月十日(火)
 夕方、五十分ほど走る。
*鶏唐揚げ、白米、コーンスープ、大根とチーズと金柑のサラダ、サツマイモチップス。

二月十一日(水)
*大根と白菜の煮物、鮭のお粥。

二月十二日(木)
*黒豆ご飯、水餃子、大根とチーズと金柑のサラダ、生ハム。

二月十三日(金)
 夕方、子供をおじいちゃんおばあちゃんに預けて、矢野顕子のコンサートに行く。夫婦でコンサートは、子供が生まれてから初めてである。考えたらふたりで初めて行ったコンサートが「スーパーフォークソング」が出たときの矢野顕子のコンサートだった。
 音を操作するというのではなく音に操作されるというのでもなく、ただ当たり前のように肉体と音が繋がっているああいう人のことをミュージシャンというのだろうなあ、と今更のように思う。
 ゲストはなんと岡林信康。いやそれにしても二十一世紀の大阪で、矢野顕子と岡林信康の「チューリップのアップリケ」を聴くとは夢にも思わなかったなあ。人間、長生きはするものである。
*にゅう麺。

二月十四日(土)
*トマトと豆のリゾット、卵スープ。

二月十五日(日)
 なんと今回は、山田正紀と牧野修の新作二本立てという、もうそれだけで、豪華というか、とんでもないというか、わけがわからんというか、いったいどこに向けた落語会なのかすらわからない。
このあたりがまさに「ハナシをノベル!!」である。こういうことが実現しただけで、なんとも壮大で贅沢で無駄な遊びをやらせてもらっているなあと思う。

 で、本日の新作の一席目が、山田正紀・原作の『ガンジマン』。
 タイトルどおり、癌の手術をした上司が部下に癌の自慢をする噺。サゲも含めて、形としてはすごくオーソドックスな落語にまとまっていたが、しかし内容が内容だけに、テレビでは絶対に無理だし、落語会でもかなり特殊な密室的なところでないとやれないだろうなあ。繁盛亭では無理。初めての落語でこんなネタを書いてしまう山田正紀さんの大人げなさに恐れ入りました。やっぱりSFであるということは、大人げないこと、なのである。

 二席目は、大人げなさにかけてはまあこの人も大概であろう牧野修・原作の『がしんじょ長屋』。
 「生物都市」というか「ブラッドミュージック」というか、ようするに、嫁はんがぐちゃぐちゃでろでろなものになって、それがいろんな人を引っ張り込みながら長屋ごとでろでろになって、さらに大きくなっていくというアホな話であって、内容はおおよそ落語らしくない変な落語なのだが、羽織をつかった落語ならではのでろでろ描写はかなりうまくいっていて、たとえばCGとかを使ってもこういう生々しさはでないだろうから、そういう意味でとても落語らしい落語になっていた。繰り返しのギャグもよく効いていて、このネタがスタンダードになれば、落語というものにこれまでなかった仕草を新たにひとつ付け加えたことになる。今後、人間がぬちゃぬちゃのでろでろになるという描写は、このネタで八天さんがやったこれがひとつの型になるであろう。めでたい。
 いやそれにしても、大人げないアホなことというのを自分ももっとやらなければいかんなあとつくづく考えさせられましたよ。

 というわけで、今回もとてもおもしろかった。
*打ち上げの場にあったもの。


無断転載禁止 (c) Yusaku Kitano/Hiroko Morikawa(イラスト)
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