カメ天国通信


その39

【カメ人間日記】
(2001年6月)

六月一日(金)
 歯医者に行く。六月の終わりからまた一ヶ月ほど旅行に出るので虫歯が無いかどうか見てもらうのである。虫歯なし。よかった。妻は二本あったようだ。
*クラムチャウダー、バゲット、サラダ、イチゴ、小夏。

六月二日(土)
 昼間、弁天座の台本を書き、夜は劇団の稽古。

六月三日(日)
 劇団の用事で朝から天王寺方面へ。
 帰ってきてから弁天座の台本を書き、夜は劇団の稽古。稽古終わりで飛行機の主翼をちょっと作ってから帰る。
*アジの塩焼き、紫蘇、いかなご、サラダ、ガトーショコラ、小夏。

六月四日(月)
 弁天座の台本、いちおう出来た。あとはいろいろとすりあわせをやらねばならないが、まあとりあえず一安心。これで『ザリガニマン』に戻れる。
*明太子スパゲティ、ガトーショコラ。

六月五日(火)
 扇町ミュージアムスクエアにチラシの挟み込み。今回の芝居の台詞を頭のなかでまわしながらやる。約二時間で終了。
 夜は劇団の稽古。
*アジの刺身、鰹たたき、白米、味噌汁、ガトーショコラ、小夏

六月六日(水)
 このところ腰が痛いのでニューバランスショップでおすすめの整骨院に行く。右脚の軸がねじれているらしい。普段の体重の掛け方のせいではないかと言われる。じつはちょっと思い当たるところがあって、これはなかなか信頼できる整骨院だなあと思う。
 やっぱり四十才前にもなるといろんなところにガタがきているなあ。ここらでちゃんとオーバーホールしておかねば。
*鮭入り卵焼き、白米、紫蘇、いかなご、味噌汁、さらだ、ブルーベリーケーキ、小夏。

六月七日(木)
 台本の第一稿をもって弁天座の打ち合わせ。 なかなか好評でよかった。夜は劇団の稽古。

六月八日(金)
 真面目に小説を書く。
*ラーメン、ガトーショコラ、小夏。

六月九日(土)
 昼間、劇団の稽古場でセスナやらなんやらを作り、夕方、整骨院へ行き、夜は稽古。
*ハマチ刺身、白米、味噌汁、サラダ、ガトーショコラ。

六月十日(日)
 昼間、セスナ作り。
 夜は民博のアルバイト仲間であるサックス吹きの井上君の結婚パーティ。
*サンドイッチやらいろいろパーティメニュー。

六月十一日(月)
 小説をちょっと書いて、夜、『クイルズ』の試写会。帰りに寄った焼肉バイキングは、ご飯やサラダや果物までついてしかも時間無制限、これで980円なのである。
*焼肉食べ放題。

六月十二日(火)
 弁天座の打ち合わせ。軽く読み合わせみたいなこともやってみる。あとの細かいすり合わせはおまかせ、ということで。ラジオドラマの収録にも立ち会いたいところだが、その頃は日本にはいないのだ。放送は八月十日。『MBSドラマの風』という番組らしいのだが、そのときもまだ帰って来てないのだ。夜は劇団の稽古。
*ざる蕎麦

六月十三日(水)
 朝は整骨院。昼は小説。夜は京阪神少年少女楽団の練習。
*甘鯛の半干し、角煮、カワサギと海老の天ぷら、白米、サラダ。

六月十四日(木)
 昼間は小説。夜は劇団の稽古。
*花巻、餅、お茶漬け、サラダ、小夏、プラム。

六月十五日(金)
 一日小説を書く。
*明太子スパゲティ、サラダ、ケーキ。

六月十六日(土)
 昼間はセスナ作り。夜は稽古。
 稽古終わりで、セスナその他に一気に色を塗る。皆でわあわあ言いながら夜中の二時にひとまず終了。
*カレー、いなり寿司、巻き寿司、サラダ。

六月十七日(日)
 昼から稽古。
*パン、バナナ。

六月十八日(月)
 唐口さんよりトランペットのレッスンを受ける。
 夜は妻が葉書であてたラジオの公開録音落語会。なんと桂雀三郎(『遊山船』『G&G』)と笑福亭福笑(『江戸荒物』『あこがれの甲子園』)という豪華な取り合わせ。
 とにかくちょっとした台詞でもすべておもしろい。人物が生きて動いている。古典とか新作とかの区別は感じさせないのはそういうところだろうと思う。贅沢な笑いの一時間三十分でした。
*巻貝の酒蒸し、白米、紫蘇、いかなご、サラダ、味噌汁。

六月十九日(火)
 昼間、整骨院。夜、稽古。
*カレー。サラダ。

六月二十日(水)
 稽古。稽古終わりでレンタカー屋にトラックを取りに行き、積み込み。
*カレー。サラダ。

六月二十一日(木)
 トラックを運転してHEPホール入り。あのあたりの道はごちゃごちゃしていて鬱陶しい。仕込み。
*弁当。

六月二十二日(金)
 どうにか初日の幕が開いた。やれやれ。
*弁当。

六月二十三日(土)
 十二時に劇場入り。昼、夜の2ステージ。  妻はロビーで本を売る。『かめくん』は完売。『火星』もけっこう売れた。
*弁当

六月二十四日(日)
 十二時に劇場入り。
 三時から本番。終演後、さっそく舞台のバラシにかかる。今回はセスナをバラすだけでいいので楽である。レンタカー屋でトラックを借りてきて、ホールの地下から運び出す。
 稽古場に運び込み、そのまま打ち上げ。 やれやれ終わった。皆様、おつかれさまでした。
*打ち上げメニュー

六月二十五日(月)
 朝、衣装やらラッパやらを抱えて帰宅。昼まで寝る。
 夕方、妻の実家へ亀をあずけに行く。二十八日から旅行に出るのである。
 靴の箱にいれて自転車の前カゴで運んだのだが、途中で暴れて何度も自転車を止めなければならなかった。
 ベランダにタライを置き、出入り出来るように亀階段を取りつける。落ち着き無く歩き回っていたが、しばらくして見てみると水のなかで居心地よさそうにしていた。
*カレー。

六月二十六日(火)
 昼間、接骨院へ。
 『ザリガニマン』を書く。
 夜、『マレーナ』を観に行く。贅沢な映画である。あんな群集シーン、いったいどうやったら撮れるのだろう。
 『ザリガニマン』なんとか脱稿。まあまだいろいろと直さねばならんが、とりあえずは終わった。やれやれ。

六月二十七日(水)
 自転車で十分ほどのところにある写真屋で私が体験した不思議だが本当の話。
 出来てきた写真がどうもピントが甘いように思うので、これはカメラのせいなのかそれとも焼付けのせいなのか。もしかしてカメラに問題があるなら明日から旅行だから何とかせねば。電話をしたら、ネガを持って来てくれればわかります、今日一日はぼくがいますので持って来てください、ということなのでさっそく持っていたのだ。
 ところが、持っていくと、ネガなど見ずにいきなり同じ時間に焼き付けたという他の客の写真を出し、「ほら、これはどれもボケたりしてないでしょう」とか言うのだ。
 いやいや、そういうことじゃなくて、このネガとプリントをみくらべてカメラが原因なのかどうかを教えて欲しいのだ、と言っても、「それはわかりません」。
「ネガを持って来てくれたらわかるといったじゃないですか」
「ネガは普通ですね」と拡大もせず光にもかざさずぶっきらぼうに言うのである。
「いや、別にいちゃもんをつけるとかそういうことじゃなくてですね、明日から旅行に行くのでもしカメラに問題があったら困るんですよ。だから、ちょっとネガとプリントを較べてみて欲しいんですけど」
「店のせいじゃないですね」
「いや、ネガとプリントを見て欲しいんですけど。ルーペで見たところ、ネガのほうはもっとクリアに映ってると思うんですけど」
「クリアというのはどういうことですか」
「ほら、全体にピントがあってないじゃないですか」
「それじゃ、これとこれはどうですか」と持って言った写真の束からマシなのを二枚引きぬいて逆に質問してくる。
「これとこれ、こういうのもボケてるっていうんですか」とまるで刑事の尋問である。
「ボケてないですよ、これは。いや、そういうことじゃなくて、このネガとこの写真を見て欲しいんです。ネガに問題がなければそれでいいんです」
「そういうことはわかりませんね」
「えっ、わからないんですか」
「店のせいではないです」
「そんなことじゃなくて、カメラに問題があるかどうかを知りたいだけなんですよ。ネガの段階でボケてるのか、焼き付けの段階でぼけたのか」
「わかりません」
「原因はカメラなのか焼付けなのかというのもわからないんですか」
「焼き付けのせいではないです。同じ日時に焼いたほかの写真ははっきり映ってますから。店のせいではないですね」
「では、カメラですか」
「カメラですね」
「カメラが悪いということですか」
「わかりません」
「ネガを持ってきたらわかると言ったけどわからないんですね」
「そんなことは言っていません。店のせいかどうかわかると言っただけです」
「原因は、わからないんですね」
「わかりません」
「じゃ、もういいです」
 というわけであの店にはもう二度と行かないだろう。
 さようなら「しょうちゃんの写真屋さん」都島店。すてきな思い出をありがとう。絶対忘れないよ。
*アジの塩焼き、紫蘇、ネギと薄あげ入り卵、もち米、メロン、生チョコ。

六月二十八日(木)
 というわけで朝から、さっそく近所の別の写真屋にいって焼き増ししてもらったところ、なんとまあ、視力0.8と1.2くらいは違うではないか。読めない看板の文字もくっきりはっきりだ。やれやれ、カメラに問題はなかった。
 実は、あのあと本店の方にも電話して、焼き付けの機械のピントが甘くなるというようなことはあり得るんですかと尋ねたのだが「自動プリントの場合はそんなことありません」という実に明快な解答をいただいたので、つまり「しょうちゃんの写真屋さん」レベルのくっきりというのはこのくらいということなのだろうなあ。それなら文句を言うこともないか。うん、私が悪かった。だって、こんなにもレベルの低い技術と質の悪いアルバイトにもかかわらずがんばっているのだ。これからもこのレベルの低い技術と質の悪いアルバイトと絶対にあやまらない体質をフルに活用して「しょうちゃんの写真屋さん」都島店には大いにがんばっていただきたい。
 というわけで、しばしさよなら、日本。永久にさよなら、「しょうちゃんの写真屋さん」都島店。

☆ 付記:

 2001年6月に上記のような出来事があってそれを日記に書いたのだったが、2005年9月になって、こんなメールが来た。

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突然のメール失礼します。
私は、カメ人間日記その39の6月27日に登場?していますしょうちゃんの写真屋さんで 働いております中林といいます。
このたび大阪エリアの店舗管理を任されて都島店を中心に仕事をさせていただいておりますがお客様より先生のHP上で都島店の事が書かれてあるという事でおじゃまさせていただきましたがびっくりしてしまいました。
日記に書かれてある当時の事はわからないのですがとんでもない失礼な対応をしていますね。
いまさらお詫びのしようもありませんが同じ失敗を繰り返さないよう心して業務に励みたいと思います。
 前置きが長くなりましたが今回お願いしたい事があってメールさせていただきました。 「しょうちゃんの写真屋さん 都島店」で検索しますと先生の日記がトップに表示されています。
 書かれてある事は事実であると思いますがネット上で公開されている文章(イメージ)の影響力を考えますと何とかできないものかと思いぶしつけなお願いにまいりました。 記事を削除だとか店名を消すだとかそのような事を言うつもりはありません
検索でトップに表示される事を何とかしたいと思う次第ですがネットに関する知識も無く思い余って失礼なお願いにあがりました。
現在では会社の体制も変わり大阪エリア従業員一同
写真業界が厳しい中がんばっています。
なにとぞご考慮いただきますようお願い申し上げます。
乱文失礼しました。
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 というわけで、まあ私としてはああいうことがもう起こらなければそれでいいのだし、なにぶん四年も前のことだからあの頃のアルバイトはもういないというのも本当のことだろう。なによりもメールの内容から判断して、体制が改まっているというのも信用していいように思う。もちろんせっかく変わったものを邪魔しようなどという気はない。このあと何度かメールのやり取りがあったが、とてもきちんとしたものだった。
 だからあれはあくまでも過去の出来事、ということで、あとは利用してご判断ください。

                     2005年9月14日


無断転載禁止 (c) Yusaku Kitano/Hiroko Morikawa(イラスト)
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