カメ天国通信


その70

【カメ人間日記】
(2003年7月後半)

七月十六日(水)
*白米、ゆで卵、トムヤムクン、紫蘇、イカナゴ、アボカド、カマンベールチーズ、薄揚げとエノキのバター炒め、サラダ、桜餅、柏餅、西瓜。

七月十七日(木)
 昼頃起きたら、亀がまた卵を産んでいた。三個。今回はけっこう手間取っていたなあ。産気づいていたのは一週間くらいか。夜になると足をふんばったり伸ばしたりしてがんばっていたが、やっと産んだ。亀も楽ではないのである。
 午後から今里方面へ新しい住みかを探しにいく。駅を降りてすぐのところに古くてなかなかいい感じの商店街がある。パン屋の前には亀が飼われているし、ペット屋にはやたらとでかいアホロートルが鰓をひくひく動かしている。覗きこんでいると通りかかったおばちゃんが「これ、なんですのん」というから「アホロートル」と教えてやると首を傾げている。横から妻が「ウーパールーパー」と言うと、「ああ、あれかいな、大人気やったなあ、ああ、これがあれか」とひとり納得して去って行った。
 そうか、アホロートルでは通じないのだ。
*茄子とトマトのペンネ、サラダ、西瓜。

七月十八日(金)
*白米、チーズタルト、紫蘇、イカナゴ、トムヤムクン、サラダ、レバーと玉葱炒め、はんぺんバター焼き、アボカドとカマンベールチーズ。

七月十九日(土)
 SF大会で栃木まで行く。
 夜中に部屋を真っ暗にしてヘッドランプの明かりで朗読をやったりして、なかなかおもしろくも意義あるものだった。
 朗読という形式はいろんな可能性があると思うし、なによりもフットワークが軽くていい。朗読のお客は四人で、しかもそのうちひとりが小林泰三というすさまじいほどの人気のなさだったが、いちおう試したいことは試せたのでよしとしよう。まあ、もうちょっと来て欲しかったけど。我ながら人気ないなあ。
 企画の合間は、ほとんどずっと小林泰三とビールを飲みながらいろんな人の悪口。もちろん普段の私はめったなことでは人の悪口など言ったりしないのだが、相手が小林泰三では仕方がないのである。
*ヤキソバみたいなスバゲティとか、パーティ会場にあったもの。

七月二十日(日)
 朝からビールを持ってついてくる小林泰三を振り切るように二時半に栃木を出て、夜中に大阪に帰ってきた。疲れたがなかなか楽しかった。
*ラーメン。

七月二十一日(月)
 寺田町方面に住みかを探しに行く。あんな商店街と露地は今里だけだと思っていたら、ここにもちゃんとあるのだなあ。
*焼き飯、豚汁、サラダ。

七月二十二日(火)
 新しい住みかを決定した。生野銀座という商店街の近く。商店街はやっぱりなんとか銀座です。こういうところを舞台にした話を書こうとしているところなのでちょうどよかったというのもあるし。
*エビチリ、白米。

七月二十三日(水)
 引越し前祝いに大西亭というフランス料理屋に行く。カウンターとテーブルが幾つかあるだけの小さな店。どれも美味くてとにかく量が多い。でも、フランスで飯を食ったらこのくらいの量は出てくる。食べながら、去年、ペリグーとかカオールとか、あのあたりを旅行していたときのことを思い出す。あれからもう一年か。最後のチーズ盛りにはちょっとびっくり。これでこの値段で大丈夫なのか。うーむ、良心的にもほどがあるぞ。大満足して自転車でたらたらと帰る。
*前菜盛り合わせ、サーモンの野菜ソース、ホタテとオマールの包み焼き、伊賀豚の煮込み、ブルーベリーのミルフィーユ・パッションフルーツ添え、チーズ盛り合わせ。

七月二十四日(木)
 天神祭りの見物がてら、友人が買ったマンションを見物に行く。なんとまあすごいものを買ったものだなあ。晩御飯もご馳走になる。
*キムチ、トマトサラダ、韓国冷麺、韓国海苔、かぼちゃとブロッコリー、ゴーヤと豚肉の炒め物、白米、マンゴー。

七月二十五日(金)
*エビチリ、白米、湯葉とシメジの煮つけ。

七月二十六日(土)
 ジュンク堂で、田中啓文さんと菅浩江さんの対談を見物にいく。テーマは、二十一世紀SFの想像力とかなんとかそんな感じだったのだが、まったくそんなことは話さなくて、単なる世間話というか、喫茶店の会話でももうすこし緊張感があるだろうというような気の抜けた会話が続き、そのまま終わってしまった。まあ、菅さんのお客はともかく田中啓文ファンはそれで満足しているらしいのでこれでいいのだろう。後ろの席には例によってヒマそうな関西のSF作家連中がいっぱいいた。そのまま飲みに行って、延々アホなことを喋る。
*居酒屋で出てきたもの、桃。

七月二十七日(日)
 北区を離れるので六年間ご近所だった堀晃さんにご挨拶に行ったのだが、夫婦で晩御飯を奢っていただいただけで、全然ご挨拶になっていない。
 帰ってきてから、荷造りの続き。明け方近くまでかかって、なんとか終了。
*エビチリ、かに玉、野菜炒め、皿うどん、揚げ春巻、桃。

七月二十八日(月)
 引越し。今度の住みかは生野の一軒家である。赤帽の軽トラックの助手席に乗ってピストン輸送する。山積み三回でなんとか運びきった。しばらくは荷物の片付けだなあ。
*バゲット、チーズ、クリームパン、桃。

七月二十九日(火)
 持ってきた板で亀が落ちないように板でベランダに囲いを作り、タライとスロープ、小亀用の池を設置。なかなかいい感じになった。
*キムチ、エビチリ、白米、桃。

七月三十日(水)
 荷物を片付けたりしつつ、ちょっと書いたり直したり。部屋が広くて快適である。
*ヒラメの刺身、大根サラダ、味噌汁、キムチ、白米。

七月三十一日(木)
 夕方から劇団の用事で天王寺方面へ。新しい稽古場まで自転車で約十五分。行きはずっと登り坂でちょっときついが、帰りはまったく漕がなくてもいい。
 劇団の稽古場からの帰り道は大接近中の火星がよく見える。稽古場と火星とを結んだ線上にうちがあるのでひたすら火星を目指して、自転車で坂を下っていけば帰りつけるのだ。引っ越したばかりで慣れない道だがごちゃごちゃした露地に迷い込んでしまっても方向を見失う心配はない。嘘のようだが本当の話である。
*焼肉。



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