カメ天国通信


その77

【カメ人間日記】
(2003年11月)

十一月一日(土)
 近所のフリーマーケットに行ったり、図書館に行ったり、あとはラッパを吹いて遊んでいた。
*韓国鍋、蜜柑。

十一月二日(日)
*おじや、蜜柑。

十一月三日(月)
*マーボ茄子、おでん、牛テールスープ、キムチ、白米、グレープフルーツ、チェー、蜜柑。

十一月四日(火)
 夜、通天閣のあたりまで走ってその帰り、いつものコースも飽きたので、適当にそこらの路地に入ってでたらめに走っていて、不思議な道を見つける。自動車一台がやっと通れるくらいの路地なのだが、とにかくまっすぐなのだ。そこになぜか同じ形の白い直方体の蛍光灯が等間隔で延々並んでいる。四十分ほど走ってだんだん気持ちよくなってきたところということも手伝ってか、『2001年宇宙の旅』のラスト近くのシーンみたいでおもしろ気持ちよかった。
 もうすこし脳味噌をハイにした状態でスピードを上げて突入すればもっと気持ちよくなれるような気がする。今度試してみよう。
*タイカレー、蜜柑。

十一月五日(水)
 旅行の準備をしようと思ったのだが、考えてみると特に準備をするようなこともないので何もしていない。
*タイカレー、おでん、オムレツ、ヨーグルト、チェー、蜜柑。

十一月六日(木)
 戸締りをしてリュックを背負い、関空へ。
 時差があるのでその日のうちにフランクフルトに着く。得した気分である。というわけでここからは旅行ということになるのだが、いちいち書くのは面倒だしそもそも私は旅行中ほとんど妻にくっついて歩いているだけなのでくわしいことなど何もわからず従って書きようもないので、まあメモ代わりの俳句でお茶を濁しておく。

十一月六日(木)
リュックサック背負って飛行機雲の下

十一月七日(金)
冬の朝プラットホームの見える窓

十一月八日(土)
川沿いの市場へ落ち葉踏んで行く

十一月九日(日)
安宿を求め黄色い山に入る

十一月十日(月)
チュービンゲン情けない顔のパンプキン

十一月十一日(火)
温かいワイン片手の石畳

十一月十二日(水)
紅葉の森に温泉宇宙かな

十一月十三日(木)
混浴の湯で待ち合わせ冬日暮れ

十一月十四日(金)
冬の月レンズも融けるサウナかな

十一月十五日(土)
チョコレート色した寺院枯木立

十一月十六日(日)
薄焼きのピザ食べて冬の雨の中

十一月十七日(月)
木枯らしやミトコンドリアのようなパン

十一月十八日(火)
星空に響く冷たき喇叭かな

十一月十九日(水)
古本屋グーテンベルクの像の下

十一月二十日(木)
息白し世界遺産と犬の糞

十一月二十一日(金)
ヴィッテルやパン屋は夜の霧の中

十一月二十二日(土)
冬木立丘のむこうは隣町

十一月二十三日(土)
シーズンオフなれどVittel飲み放題

十一月二十四日(日)
焼き栗屋梟の道を行く日暮れ

十一月二十五日(月)
干し林檎朝の市場に通り雨

十一月二十六日(火)
マスタード工場の秘密亀眠る

十一月二十七日(水)
石畳シュプレヒコール冬の雨

十一月二十八日(木)
クリスマス電飾点灯女子高生

十一月二十九日(金)
城壁に並ぶや冬のフラミンゴ

十一月三十日(土)
ブザンソン亀の人気を確認す


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