カメ天国通信


その78

【カメ人間日記】
(2003年12月)

十二月一日(日)
エアメール窓辺の席で書き師走

十二月二日(月)
駅前の宿で冷たい雨を聴く

十二月三日(火)
冬の川溢れて鴨の遊ぶ午後

十二月四日(水)
曇空坂に転がる林檎の実

十二月五日(木)
朝市は霧に隠れた坂の上

十二月六日(金)
ブールジュやすこしゆがんだ部屋に居る

十二月七日(土)
ブラスの音街に響いてノエル市

十二月八日(日)
クリスマスツリーの工事で目を覚ます

十二月九日(月)
銃声に揺れる水路や霜光る

十二月十日(火)
霧の朝阿房列車とパリへ行く

十二月十一日(水)
エッフェルの光弾けて夜の雨

十二月十二日(木)
干しあんず背中に重し朝の市

十二月十五日(土)
螺旋街カメリ探して塔の上

十二月十六日(日)
冬の丘アメリのカフェに亀歩く

十二月十七日(月)
サンマルタン運河は飛行機雲映す

十二月十八日(金)
 寺田町の駅から露地を抜けてよたよたと帰ってくる。これにて今回の遠足も無事に終了である。最初に留守番の亀三匹の無事を確認。この時期は餌を食わないので放っておいても大丈夫、とはいえやはり心配だった。
 まだ完全に冬眠には入っておらず、水のなかでじっとしている。留守番ご苦労であった。
*卵ご飯、サンドイッチ。

十二月十九日(土)
 時差ぼけている。
*穴子丼、さくらんぼ。

十二月二十日(日)
 旅行中に書いた文章をちょっと整理したり。
*鯛の香草焼き、鶏皮唐揚げ、味噌汁、白米。

十二月二十一日(月)
 なにもしなかった。
*穴子丼、味噌汁、蜜柑。

十二月二十二日(火)
 朝、突然、眼鏡が壊れる。ただ持っただけでフレームの真ん中がぽろりと折れたのだ。これがドラマなら、絶対誰か死んでいるような壊れ方である。仕方がないので梅田まで眼鏡を買いに行く。それにしても、眼鏡が壊れるとその金額以上にへこむなあ。やはり身体の一部だからなのだろうなあ。
*ベーコンとズッキーニのスパゲティ、パプリカのサラダ、蜜柑、林檎。

十二月二十三日(水)
 ちょっとだけ文章をいじったりするくらいでほとんど何もする気がない。時差ぼけということにしておく。
*蟹すき、蜜柑、林檎。

十二月二十四日(水)
 もうそろそろ時差ぼけというのも通用しないかもしれないが、クリスマスイブだからまあいいということにしておく。
*ベーコンとズッキーニのスパゲティ、グレープフルーツとパプリカのサラダ、ケーキ、蜜柑。

十二月二十五日(木)
 さすがに時差ぼけというよりは単なるぼけのような気がするがクリスマスだからまあいいということにしておく。
*鉄板焼き、グレープフルーツ。

十二月二十六日(金)
 我ながらよく寝るなあ。まるで亀である。
*ベーコンとズッキーニのスパゲティ、グレープフルーツとパプリカのサラダ、ケーキ、蜜柑。

十二月二十七日(土)
 朝起きたらもう昼過ぎで、夕方から稽古場で劇団の納め会。
*鍋、その他。

十二月二十八日(日)
 あまり仕事もせずに夕方からM-1を観る。
 漫才もさることながら、島田紳助がやたらと「おれと松本が」「ぼくと松本が」というフレーズを連発するところにいろんな思惑が見え、とてもいやらしくておもしろかった。
 妻はどうやら千鳥のファンらしく、大悟が出るたびにテレビの前でしきりに「かっこいい!」とか「男前!」などと騒いでいる。私も千鳥は好きだが、しかしああいうのをかっこいいと言うのだろうか。よくわからない。
*鉄板焼き。

十二月二十九日(月)
 夫婦で堀晃さんの仕事場にお邪魔してうだうだと話し、ヨドバシカメラでプリンターとスキャナーとコピーが一体になった物体を抱えて帰宅。今回の旅行からカメラはデジタルカメラになったので、こういうものを買うことにしたのである。というわけで、うちにもついにハイテクの波が押し寄せてきた。ローテク・アナログ夫婦は、はたしてこの波を乗り切ることができるのだろうか。
 夜中にやっているオールザッツ漫才を最後までしっかり観て朝の五時である。漫才そのものはおもしろいが「感動」とか「偉業」とかそんなところに着地させようとしているところがけっこう鼻につくM-1と違って、こっちは最初から最後までアホらしく、どっちが好きかといえば間違いなくこっち。妻はあいかわらず千鳥が出るたびにビデオの録画ボタンを押している。
*バゲット、チーズいろいろ、レバーペースト、パプリカとグレープフルーツのサラダ、かぼちゃコロッケ、レッドグローブ、ブッシュドノエル。

十二月三十日(火)
 昼過ぎに起きてちょっとだけ文章をいじって、あとは年賀状作成の手伝い。
*塩鮭、白米、かぼちゃ味噌汁、コロッケ、漬物、卵焼き、サラダ。

十二月三十一日(水)
 いろんなチャンネルで、裸のおっさんが殴りあったり汗だくで絡みあったりしているのはどういうわけだ。いつから大晦日にこういうことが行われるようになったのだろう。もしかして、何かのまじないなのか。
*クリームパン、蜜柑、年越し蕎麦。

一月一日(木)
 蕎麦を食べてから近所に神社に初詣に行ったのだが、これがもう大賑わいで賽銭箱の前には神社の外まで行列ができている。
 行列してまで賽銭をあげる気にはなれないので困っていると、同じ境内にある小さな社にはほとんど人影がないではないか。中を覗くと祭られているのはなんと巨大な男根である。よくよく見ると、その前にある真っ赤な賽銭入れも同じ形だ。こっちの方なら並ばなくてもいいし、ありがたそうでもあるので、もちろん初詣はそれで済ませてしまう。
 というわけで、皆様、あけましておめでとうございます。本年もよろしく。



無断転載禁止 (c) Yusaku Kitano/Hiroko Morikawa(イラス ト)
[  カメ天国通信 に戻る |  前のページへ |  次のページへ ]