カメ天国通信


その82

【カメ人間日記】
(2004年2月後半)


二月十六日(月)
 「奈良人」という雑誌の連載エッセイのため、奈良の飛鳥まで亀石を見に行く。亀石は思っていた以上に亀に似ていた。後ろから見るとさらに亀に似ているのである。
*回転寿司。

二月十七日(火)
 夜は劇団の稽古。
*ベーコンとほうれん草のホワイトソースのペンネ、大根サラダ、コールスロー。

二月十八日(水)
 夜は楽団の練習。
*キムチチゲ、コールスロー。

二月十九日(木)
 図書館に行ったり、あとはだらだら過ごす。
 夜、一時間ほど走る。
*キムチ、大根サラダ。

二月二十日(金)
 なんということだ、玄関の扉に針金みたいなもので鍵を開けようとした痕跡を発見した。恐らくはここ何日間でのことである。うちには現金も金目のものもほとんどないが、もし亀を持っていかれたりしたら大変だ。クサガメとミドリガメだからもちろんお金になどならないのだが、あまり亀に詳しくない泥棒が間違えて盗んでいくかもしれないではないか。なんともぶっそうなことである。
*クリームシチューご飯、コールスロー、大根サラダ、チョコオレンジケーキ。

二月二十一日(土)
 ひさしぶりに梅田まで行って、天満まで歩いて天六に住んでいたころ毎日のように寄っていたドトールでちょっと書いて、環状線に乗って帰ってくる。
 夜、一時間ほど走る。
*秋刀魚の塩焼き、白米、キムチ、コールスロー、大根サラダ、ほうれん草サラダ、味噌汁、チョコオレンジケーキ。

二月二十二日(日)
 夕方、自転車で心斎橋のウイングフィールドまで、くじら企画『密会』を観に行く。やっぱり生身の人間がすぐ目の前で動いて声を発するという表現形式には、それ以外の何かには置きかえられない要素があると再認識した。
*クリームシチュー、白米、チキンソテー、、コールスロー。

二月二十三日(月)
 「あれもアリカ、これもアリカ」と歌っているアリカ工業のCMに、けっこう大きなリクガメが出ていることにいったい何人が気がついているのだろうか。CMのいちばん最初の部分で、画面の隅に一瞬だけ映るのである。
 確認しようにも、CMが始まったと気づいたときにはもう画面が切り変わっているのでなかなか確認できない。そのくらいちょっとしか映っていないのだ。CMの最後の方でもういちど同じ部屋が映るのだが、今度は何かの陰になって亀は見えない。
 わざわざ亀を連れてきたにしては、あたかもそこに亀がいることを知られたくないような撮り方だ。撮影していて、たまたまそこを通りかかった亀が映ってしまった、というわけでもないだろうし、「いや、あの現場に亀なんかいなかったんですよ。じつは、三年ほど前になりますか、あのスタジオで撮影中に事故があって、それで亀が死んだんですよね。それ以来、たまに画面の隅にその亀が‥‥」というようなことでもないだろう。
 はたして、あの一瞬の亀の映像には、何か意図があるのか。あっ、もしかしたら、サブリミナルみたいなものなのか。アリカよ、いったい何を企んでいるのだ。
 夜、一時間ほど走る。
*カレーライス、コールスロー、大根サラダ、ヨーグルト、カレー饅、カスタード饅。

二月二十四日(火)
 夜は劇団の稽古。
*秋刀魚ご飯、味噌汁、大根サラダ、ほうれん草バター炒め、カレー饅、カスタード饅。

二月二十五日(水)
 商店街をうろうろしたり、図書館に行ったり。
*ハマグリと菜の花のスパゲティ、コールスロー、大根とほうれん草のサラダ、カレー饅、カスタード饅。

二月二十六日(木)
 接骨院へ行く。帰りに四天王寺の池の亀を見たり。夜、一時間ほど走る。
*オムライス、マッシュポテト、コールスロー、大根とほうれん草のサラダ、カスタード饅。

二月二十七日(金)
*たこ焼き、はっさく。

二月二十八日(土)
 いつも書いている店が満員なので今日はマクドナルドのテーブルで書いた。今は、おじゃる丸のキャラクターグッズがついているセットがあるらしく、隣の席の子供がそれをいじり続けているので、一時間くらいのあいだずうっと、「キー君ひよこじゃないっぴ! キー君ひよこじゃないっぴ!」というキスケの甲高い声がしていておもしろかった。そのせいかけっこう仕事もはかどった。
*押し麦入りご飯、大根とキウイのサラダ、野菜のオイスターソース炒め、ほうれん草のバター炒め、マッシュポテト。

二月二十九日(日)
 夕方から、新世界のブリッジで行われた大原裕・追悼ライブを観に行く。大原さんとは民族学博物館のアルバイトでいっしょだったのだが、この追悼ライブの世話人というか雑用係というか受付というか、まあそういうことを田中啓文氏がやっている。もちろん、田中啓文氏がここにいるのはアルバイトつながりではなく、ミュージシャンつながりである。ということは、私と田中啓文とは大原さんつながりということになるのだろうか。まったく世間は狭い。関西は狭い、というべきか。最前列の席で五時間たっぷり、質の高い演奏を楽しんだ。
*うどん、カレー饅、カスタード饅。



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