96年12月19日、「断筆」を解除することが、発表されましたが、その際に筒井康隆氏が発表した文書と「覚書」の雛形を掲載します。「覚書」の雛形のインターネット公開に関しては、新潮社・文芸春秋・角川書店のご了解をいただきました。ありがとうございます。

断筆を解き、作品を発表します。

このたび、文藝春秋・新潮社・角川書店の出版三社と、別紙の通りの覚書が成立しましたので、今後は三社刊行の雑誌に作品を発表し単行本を出版します。

断筆三年余後、こうして執筆再開に至りましたのも、各新聞・出版の担当諸氏、個人と団体を問わぬ愛読者・ファングループの皆さんの暖かいご支援とご理解のお蔭であり表現の自由を得た大いなる歓びと共に厚い厚い感謝を捧げます。

別紙覚書全文は文芸誌「文學界」「新潮」二誌の新春(二月)号(一月七日発売)にそれぞれ新作の発表と同時に掲載する予定です。また、断筆以後、執筆再開までの経緯については、インタヴューが「文藝春秋」二月号(一月十日発売)に掲載されます。

今回、担当記者諸氏にはすでに直接説明させて戴いておりますので、特に記者会見などは行いませんが、重ねて詳細の取材・インタヴューのお申し込みの場合は下記へご連絡下さいますようお願いします。

筒井康隆------新神戸オリエンタル劇場・制作部・藤原寿人

(Tel.078-291-1100)

筒井康隆(自筆サイン及び落款)

三社との「覚書」の雛形

覚    書

株式会社  (出版者・以下「甲」という)と、平成五年九月にマスコミの用語自主規制に抗議して断筆した作家・筒井康隆(著作者・以下「乙」という)とは、その断筆の経緯に鑑み用語使用における双方の権利・義務関係を明確化し、以下の各項について合意に達したので、乙は甲の出版物に執筆を再開する。

  1. 甲は乙が執筆を再開した後の乙の作品について、著作権法第二十条(同一性保持権)に定められるように乙の意志を尊重して、従来どおりその意に反した用語の改変を行わずに出版する。
  2. 甲が出版した乙の作品における用語に関連して抗議があった場合、これに対処する権利及び責任は、著作者である乙にある。また、甲には乙の作品を出版した者として同様の責任がある。甲が出版した乙の作品における用語に関連して甲に抗議があった場合、甲は乙と協議の上、乙の意志を充分尊重してこれに対処するものとする。甲は、上記を充分認識し、これを出版した者の責任において、第3項に記載される義務を負う。
  3. 甲が出版した乙の作品について当事者である個人または団体から抗議があった場合、乙は甲と協議の上誠意をもってこれに対処するが、乙が対処する上で往復文書、さらには直接討論の必要が生じた際は、甲は責任を持って仲介をする。なお、往復文書及び討論の内容の骨子は公表されるものとする。
  4. 本覚書は甲及び乙が承認した後、速やかに公表される。
  5. 本覚書に規定する以外の事態においては、甲及び乙は協議の上、誠意をもってこれを処理解決する。

上記覚書二通を作成し、甲乙記(署)名捺印の上、各一通を保持する。

平成 年  月  日

出版者(甲)

著作者(乙)

筒井康隆(署名捺印)